名古屋市成年後見制度利用支援事業実施要綱の第2条において、「市長等は、次に掲げる事項を総合的に考慮して、審判請求(市長申立て)を行うものとする。」となっています。
- 市長等が行う審判請求の対象者(以下「対象者」という。)の事理を弁識する能力
- 対象者の配偶者及び2親等内の親族(以下「親族等」という。)の存否
- 対象者及び親族等が審判請求を行う見込みの有無
- 対象者の福祉を図るために必要な事情
また、「市長等は、親族等がいない場合又は親族等が審判請求を行う見込みのない場合であっても、対象者の4親等内の親族であって審判請求を行う者の存在が明らかである場合は、審判請求を行わない。」となっています。
つまり、
- 対象者の判断能力
- 親族等の存否や対象者及び親族等が審判請求を行う見込みの有無
- 対象者の福祉を図るために必要な事情
これらを総合的に判断することになります。その中でも3.に関しては、
- 財産管理に関する法律行為の必要性
- 身上保護についての契約の必要性
- 悪徳商法の被害などの消費、経済的問題の予防・解決の必要性
- 親族等からの虐待など権利侵害を防ぐ必要性
について、十分な検討、判断が求められます。
何らかの権利擁護支援が必要な状況を把握した関係者は、区役所、いきいき支援センター、障害者基幹相談支援センター等に相談し、支援者、成年後見あんしんセンターを交えてチーム会議を開催しましょう。会議で、本人の判断能力・意思・課題の共有、成年後見制度の必要性の検討、申立人の確認等を行い、区役所が市長申立ての要否を判断する、という流れになります。担当者一人の判断で進めず、関係者間で検討することが重要です。また、市長申立てをしないという結果になっても、課題解決のための支援策については検討が必要です。