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事例9 不動産の処分をしたいが、認知症の人の場合、後見人は必要?

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事例

認知症の母について。父が他界してからはひとり暮らしをしていましたが、数年前に認知症を発症し、ひとり暮らしが難しくなり、グループホームに入所しました。

グループホームに入所してからも、自宅はそのままにしていましたが、本人の預貯金が減ってきたため、売却して今後の生活費にあてたいと考えています。
母名義の家となっていますが、息子の私が代わりに手続きをしても良いでしょうか。

回答

土地・建物などの売却の際は、不動産会社に売却手続きを依頼することになります。

その際、①本人に家を処分する意思があり、②不動産会社と契約をできるという点が重要となってきます。

不動産は名義人本人でなければ売ることはできず、親族が代わりに手続きをすることはできません。

不動産会社との契約の内容も多種多様となっていますので、本人が契約内容を理解した上での契約が必要となります。認知症にも程度があります。本人が認知症であっても、これらの内容を理解し、家を売りたいという意思のもとで契約ができれば、後見人をつけずに手続きを進めることができる可能性があります。

しかし、家を処分するかどうかの意思表示ができない、契約内容を理解できない場合は、後見人をつけることが必要となります。

また、不動産処分は後見人の一存でできるわけではなく、本人の財産管理において必要性があるかの判断が必要あり、居住用不動産を処分する場合(売却、賃貸借契約の解除など)は、家庭裁判所の許可が必要になります。

認知症であっても「自宅に戻りたい」「これからも家を大切にしたい」と思っている場合もあります。本人の思いを聞くことが難しい場合もあるかもしれませんが、本人の今までの様子や思いを考慮し、本人に説明をしたうえでの判断が必要になります。

後見人がついた場合、後見人が不動産処分の手続きを代理で行うことができます。(保佐人、補助人の場合は申立時の権限について本人の同意が必要です。)