後見制度支援信託は,本人の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。(成年後見と未成年後見において利用することができます。保佐,補助及び任意後見では利用できません。)
主に、親族後見人の多額の財産管理による不正、トラブル防止と、財産管理の負担軽減のための制度です。
利用の流れは、以下のようになります。
① 成年後見制度(法定後見)の申立て後、本人の財産の状況により、家庭裁判所が後見制度支援信託の利用を検討すべきと判断した場合、弁護士等の専門職が後見人に選任されます。
② 弁護士等の専門職後見人は、信託契約を結ぶかどうかを検討し、家庭裁判所の指示を受けて,信託銀行等との間で信託契約を締結します。
③ 信託契約締結後に専門職後見人は辞任し、親族後見人に引き継ぐことになります。
④ 信託契約締結後に信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とします。
後見制度支援信託を利用する場合は、信託契約の締結や口座開設に関与した専門職後見人に対する報酬を支払う必要があります。報酬の金額については、家庭裁判所が専門職後見人の職務内容と本人の資産状況等の事情を考慮して決定します。なお、利用する金融機関によっては、本人の財産から管理報酬や手数料を支払う場合もあります。
後見制度支援信託は必ず利用しなければならないものではありませんが、利用しない場合は本人の財産を適切に管理するために、家庭裁判所の判断で監督人が選任されることがあります。
参考資料
最高裁判所 よくある質問 Q77~87
よくある質問(回答編) | 裁判所 (courts.go.jp)