事例
知的障害のある娘についてです。娘には重度の知的障害(愛護手帳Ⅰ度、意思疎通困難)があり、グループホームに入所しています。金銭管理や通院の付き添い、買い物等、私たち夫婦が行っており現時点で困りごとはありません。
私たちでできる間は娘への支援を続けたいと思いますが、私たちも高齢になり将来が不安になってきました。娘には他に親族もいないため、今のうちに後見人をお願いした方がいいでしょうか。
回答
目前に遺産相続、不動産売却、定期預金の解約などの法律行為が必要でなければ、これまでどおり本人に寄り添ってご両親で支援していくことで問題はないと思われます。しかし、ご両親に何かあった時、いわゆる親亡き後に備える意味で後見等の申立てのタイミングを検討されることは必要です。そのタイミングは、本人や親族の状況、困りごと、支援者の関わりによって異なります。第三者後見人の選任の場合には報酬(Q7)が必要になります。
これまで数十年、本人に寄り添って生活してきたからこそ、本人がどんな人生を歩んできたのか、本人の好きなこと、意思表示の仕方、クセなど、ご両親にしか分からないこともあるのではないでしょうか。こうした情報、そしてご両親の想いを本人のこれからを支援する人たちに、リレーする期間が必要だと思います。グループホームの職員、相談支援や日中活動の職員、そして成年後見人を含めたチームで情報や想いを共有できるといいと思います。
ご両親に何かがあってから支援者が慌てて後見等の申立てを行うよりも、ご両親がご健在のうちに申立てることを検討いただいてはどうでしょうか。親(親族)にしかできないこと、後見人でもできること、後見人にしかできないことを整理して、申立てるといいでしょう。